40/30 km/h における 2020 年の各構成の元図。 Source: AeroCoach — Water bottle aero testing (2020).

トライアスロンバイクのボトルはどこに置くべきか?BTA・フレーム・BTSの空力比較

第1回 · 置き場所を考える

40/30 km/h における 2020 年の各構成の元図。 Source: AeroCoach — Water bottle aero testing (2020).

AeroCoach は一人のライダーの TT バイクでボトル位置を比較しました。500 ml の丸ボトルは 40 km/h でサドル後方 +0.7 W、ダウンチューブ +5.0 W。すべてのライダーに共通する順位ではありません。

長距離レースでは十分な水分を運ぶ必要があります。問題は「ボトルを持つか」ではなく、必要な量を確保しながら余分な空気抵抗をどう抑えるかです。BTA は両前腕の間(between the arms)、BTS はサドルの後方(behind the saddle)を意味します。フレーム上ではダウンチューブとシートチューブが一般的です。

AeroCoach の試験条件

AeroCoach は 2020 年、Garmin Track Aero System を使い、Jessica Rhodes-Jones 氏が Canyon Speedmax CF SLX で走るベロドローム試験を実施しました。無装着を基準に、500/900 ml の丸ボトル、440 ml の Giant AeroVault、750 ml の Pro AeroFuel BTA システムを比較しています。以下は AeroCoach の数値であり、RSTRI の試験結果ではありません。速度は 40 km/h(約 25 mph)と 30 km/h です。

500 ml 丸ボトルを四つの位置で比較

  • BTS・サドル後方:40 km/h で +0.7 W、30 km/h で +0.3 W。
  • BTA・前腕間:40 km/h で +1.2 W、30 km/h で +0.5 W。
  • シートチューブ:40 km/h で +3.6 W、30 km/h で +1.6 W。
  • ダウンチューブ:40 km/h で +5.0 W、30 km/h で +2.1 W。

いずれもボトルなしとの差です。この試験では BTS が四つの中で最小でしたが、ライダー、車体、取り付け方が変われば結果も変わり得ます。

40/30 km/h における 2020 年の各構成の元図。 Source: AeroCoach — Water bottle aero testing (2020).
40/30 km/h における 2020 年の各構成の元図。 Source: AeroCoach — Water bottle aero testing (2020).

BTA の利点と注意点

前腕の間はフロント周辺の気流と一体化しやすい場所です。AeroCoach は前腕が近い姿勢で BTA が機能しやすいと説明しています。この試験の +1.2 W は小さく、ボトルを見て手を伸ばしやすいことも実用上の利点です。一方、容器やストロー、腕幅が変われば条件も変わります。750 ml の Pro AeroFuel システムは +1.8 W でした。露出した長いストローについては、別のライダーの試験で抵抗が増えた例も報告されています。

Jessica 氏の前腕間の 500 ml ボトル。 Source: AeroCoach — Water bottle aero testing (2020).
Jessica 氏の前腕間の 500 ml ボトル。 Source: AeroCoach — Water bottle aero testing (2020).

フレーム上の丸ボトルが不利になり得る理由

ダウンチューブの丸ボトルは、比較的整った気流に直接さらされ、後方のフレーム周辺にも影響します。同じ試験で 900 ml の丸ボトルはダウンチューブ上で +8.2 W でした。ただし、440 ml の Giant AeroVault は同じ位置で +1.1 W。容量と形状が異なるため、差を形状だけに帰すことはできません。専用設計のフレーム一体型ボトルにも、この順位をそのまま当てはめられません。

BTS は一つの決まった位置ではない

ライダーの後方では気流がすでに乱れているため、ボトルの影響が小さくなる場合があります。しかし「サドルの後ろ」だけでは、高さ、角度、身体からの距離は分かりません。この試験でも、後方に置いた 900 ml の丸ボトルは +2.5 W、500 ml は +0.7 W。これは異なる構成同士の比較であり、容量の普遍的な法則ではありません。

サドル後方の 500 ml 丸ボトル。 Source: AeroCoach — Water bottle aero testing (2020).
サドル後方の 500 ml 丸ボトル。 Source: AeroCoach — Water bottle aero testing (2020).

実走での判断

まず必要な水分量を決め、取りやすさ、保持力、サドルとの適合を確認します。BTA も適切に配置した BTS も候補になりますが、万人共通の勝者はありません。可能なら姿勢、ボトル、ケージ、ストローを含むレース時の構成全体を検証してください。次回は、BTS の位置がライダーの後流でなぜ重要なのかを考えます。

RSTRI LAB 次回 · 第2回

BTSボトルはなぜ空力的に有利になり得るのか?

https://www.rstri.cn/ja/tech/behind-saddle-hydration-position-rider-wake ↗

出典・参考資料

Triathlete — Expert Tested: The Fastest (and Slowest) Places to Attach Your Water Bottle(AeroCoach 試験の解説):

https://www.triathlete.com/gear/bike/expert-tested-the-fastest-and-slowest-places-to-attach-your-water-bottle/ ↗

AeroCoach — Water bottle aero testing(原試験と数値):

https://www.aero-coach.co.uk/water-bottle-testing ↗

クリップボードにコピーしました